アメリカのトランプ大統領は、苦境に立たされたアメリカの映画産業をかつての栄光に戻すため、海外で制作されたすべての映画に100%の関税を課そうと主張しています。今回の発表は、トランプ大統領が物品ではなくサービスに関税を課す初めてのケースとなります。


映画関係者たちは「そんな考えは馬鹿げている」「関税は、苦境に立たされているハリウッド映画産業を活性化させるはずがない。関税は映画制作費を高騰させるだけで、結果として映画本数が減るだけだ」といいます
トランプ大統領は、ある問題については正しいのかもしれません。カナダ、アイルランド、イギリス などの国々が、寛大な税制優遇措置で米国の映画製作者を誘致したため、映画業界で働く多くの米国人が仕事不足に陥っているのが現実です。


アメリカの自動車が海外の部品を必要とするのと同じように、ハリウッド映画も海外の人々や場所に依存しており、その傾向はますます強まっている現実があります。それは映画会社ばかりでなく、Netflixなどのネットプラットフォームも利益を上げることを目指して経費を削減しているからです。
例として、2018年の映画『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』を例に挙げた。この映画は米国、中国、ノルウェー、フランスに拠点を置く企業が共同制作し、一部のシーンは英国で撮影されています。「オープニングタイトルを見ると、映画が始まる前に5つくらいの制作会社のロゴが出てきます」「中国のアリババ・ピクチャーズのロゴも、一番最初に出ているんです」近年の大ヒット作『ウィキッド』と『バービー』は、主にイングランド南東部のスタジオで撮影されました。
アメリカ以外の制作会社からサービスを購入している企業の大半がアメリカ資本です。アメリカ映画はもはや「アメリカの地で」作られていないだけなのです。


関係者が主張するのは、映画製作をハリウッドに戻す最も効果的な方法は、他の場所での映画製作コストを上げることではなく(そうすると、製作される映画数が減るだけ)、アメリカでの映画製作コストを下げることなのです。
トランプ大統領の関税脅威は、「かつての姿とはかけ離れた、アメリカの産業に対する反射的な反応なのかもしれない」「これは解決策ではない」といいます