2013-01-01から1年間の記事一覧
年の夜や 吉野見て来た 檜笠 坪井杜国
一人はなほよし ものを思へるが 二人あるより悲しきはなし
つねにあるものをたのむより けふのうれひはあれにけむ 三好達治
白い石の上に 冬はゐる うつくしきひとよ 私のつめたい靴をふんでください 田中冬二
雲のつむじの下 波立つ星の皮膚 谷川俊太郎
いのちはいのちをいけにえとして ひかりかがやく 谷川俊太郎
黙ってみないか 新聞もラジオも君も 谷川俊太郎
物として 量り難りしな弱き水に 重き船しも浮ぶと思へば 京極為兼
信夫山 しのびて通ふ道もがな 人の心の 奥も見るべく 有原業平
どうしたことか 夜の中に 悲しみを置き忘れて 谷川俊太郎
空の裏にある空 それが来て私を灰色に塗る 菱山修三
小夜千鳥 未だ寝ぬ船の 咄声 酒井抱一
ささやかな生垣やトカゲの姿が 木枯の町を行く僕の心に浮かぶ 黒田三郎
むかふの道からは 窓がしろい障子をたてゐる 田中冬二
世の中は たヾうたたねの しばらくを 覚めぬ夢路にまどふ わりなさ 太田垣蓮月
よわゝと 日の行とヾく 枯野哉 堀 麦水
とほくあれ 限り知らない悲しみよ 立原道造
鶴は 陽を啄ばみ 雨を啜って かの雲のごとく白からんとこころみしが 丸山薫
いただきの ふっと途切れし 冬木かな 松本たかし
窓に うす明かりのつく 人の世の淋しき 西脇順三郎
煙よりもかすかな雲が 煙った空を過ぎるときに ・・・遠く帰つていくものがあるだらう 立原道造
はなはだも 夜更けてな行き道の 辺のゆ笹の上に 霜の降る夜を 万葉集
あめつちの はなし とだゆる 時雨哉 北村湖春
いやはての いやはての 王がいでましのすがたなり 三好達治
明日あると 信じて来たる屋上に 旗となるまで 立ちつくすべし 道浦母都子
さやけくて
下毛野阿蘇の河原よ 石踏まず 空ゆと来ぬよ 汝が心告れ 下野国の歌
いかにせん いかにせんとぞ いはれける 隆達小歌
くれないの 花はみな散り よきともは みなはるかなり 三好達治