2014-01-01から1年間の記事一覧
雨季来りなむ 斧一振りの再会 加藤郁乎
あはれなり わが身のはてや あさ緑 つひには野べの霞と思へば 小野小町
夏あはれ 生きてなくもの 木々のあひ 室生犀星
少年の 早くも夏は
人気なき 公園の椅子にもたれて われの思ふことは けふもまた 烈しきなり 萩原朔太郎
戦争が 廊下の奥に 立ってゐた 渡辺 白泉
祖母山も 傾山も 夕立かな 山口青邨
愁ひつゝ 岡にのぼれば 花いばら 与謝蕪村
うつし世の はかなしごとに ほれぼれと 遊びしことも 過ぎにけらしも 古泉千樫
枝にもるあさひの かげのすくなきに すずしさふかき 竹の奥かな 京極為兼
杏あまさうな 人は睡むさうな 室生犀星
草わかば 色鉛筆の赤き粉のちるがいとしく 寝て削るなり
勝地はもとより定まれる主なし おほむね山は山を愛する人に属す 白居易
面影ばかりのこし あずまのかたへくだりし人の名は しらゞといふまじ 閑吟集
うらうらに 照れる春日に雲雀あがり情悲しも 独りおもへば 大伴家持
春の鳶 寄りわかれては 高みつつ 飯田龍太
行春や 鳥鳴 魚の目は泪 松尾芭蕉
こころよく 我にはたらく仕事あれ それを仕遂げて死なむと思ふ 石川啄木
草間彌生
余り言葉のかけたさに あれ見さいなぅ 空行く雲の早さよ 閑吟集
いで我を 人な とがめそ おほ舟の ゆたの たゆたに 物思ふころぞ 古今和歌集
漁りする 海人の楫の音 ゆくらかに 妹は心に 乗りにけるかも 万葉集
山里の 春の夕暮れ来てみれば いりあひのかねに 花ぞ散りける 能因法師
しら露も 夢もこのよもまぼろしも たとへていへば 久かりけり 和泉式部
眠らざりける暁に 少年の あわれ夥しき仮説を下痢す 岡井 隆」
人に勝らん心のみ いそがはしき 熱を病む風景ばかり かなしきは なし 中原中也
哀しきかな 放逐せらるる者 菅原道真
春の夜の 夢の浮橋とだえして 嶺にわかるる 横雲の空 藤原定家
春の苑 紅にほふ桃の下 照る道にいでて立つ 少女 大伴家持
花を踏んでは 同じく惜しむ 少年の春 白居易