アゼルバイジャンで開催中の国際気候変動会議COP29では、世界各国の団体、ハイテク企業が大きな派手な看板を使って気候変動対策をPRしています。
シンガポール展示のカウンターには、小さな青いNEWBrewというブランドの ビールが目立つように置かれています。
しかし、このビールが処理済みの廃水で作られているということに、すぐに気付く人はほとんどいません。
シンガポールは、世界で最も水不足に陥っている場所の一つで、一滴一滴の水を大切に守るという国家キャンペーンの一環として処理された廃水の名前である NEWater を使用して作られています。
東南アジアで最も人口密度の高い国の一つ、人口600万人のこの都市国家島嶼には、天然の水源がないのです。
処理済みの廃水を飲むことは、気候会議に出席している多くの人々にとって目新しいことだが、シンガポール人にとっては目新しいことではありません。節水要請から廃水リサイクル過程の公開まで、国家的なキャンペーンは何十年も前から続いているのです。
NEWBrewは一般のビールと同じ製造工程を採用しており、コストも同様で、スーパーで買うと1缶あたり約7シンガポールドル(約800円)です。このビールがシンガポールの一部の人々のニューウォーターに対する見方を変えました。ほとんどの人は違いがわかりません。
ビール製造担当者は、過去2年間に50カ国以上を訪問した際に、各国の指導者らから「廃水」という言葉を使わず「使用済み水」と呼ぶことが重要だと頻繁に言われたといいます。