イギリスでは、Xを通じたフェイクニュースが発端となり右翼による1週間の暴動に発展しました
マスク氏のソーシャルメディアプラットフォームXは、これまでこの騒動で中心的な役割を果たしてきました。マスク氏はネット上で物議を醸すことに慣れています。イーロンマスクは自身のソーシャルメディア上で、米国の政治、トランスジェンダー問題、移民問題など、さまざまな話題について、日常的に扇動的な発言をしています。
そうすることで、Xでのイーロンマスクの膨大なフォロワー数(1億9000万人以上のフォロワー)とアルゴリズムへの必然的な影響により、元の投稿が大きく増幅され、誤報や扇動的なメッセージがオンラインで大きく広がる可能性があります。これはトランプ氏が自身のメディアを使ってやっているのと同じ手法です。
イギリスの新聞およびデジタルニュース業界には、公平性というの要件はなく、新聞はしばしば自らの政治的イデオロギーを表明しておりデイリー・メールやデイリー・エクスプレスなど、大多数の新聞は右派寄りであり、したがって当然ながらイギリスの現政権の中道左派労働党政権とは方向性が異なっています。
Xは当初、サウスポート襲撃事件に関する熱狂と誤報を煽る手段として使われ、さらにその後、イーロンマスクは以後リス首相を批判し、その後の暴力につながる言論をさらに広める場としてしまいました。
フェイクニュースとなった最初のX投稿は、ファクトチェッカーらはその後、その名前の出所をたどって、合法的な米国のニュースサイトを装ったロシアと関係のある疑わしい偽ニュースメディアにたどり着きました。このフェイクニュースは、反イスラム活動家トミー・ロビンソン(本名スティーブン・ヤックスリー・レノン)を含む、ネット上の極右活動家らによって取り上げられ拡散したのです。
さらに、物議を醸しているインフルエンサーのアンドリュー・テイト氏はXで、殺人事件の背後には「船で到着した」「不法移民」がいると誤って発言したのです。また極右政党「改革UK」のナイジェル・ファラージ党首は、警察が今回の攻撃はテロとは関係ないといっているがそれは真実なのかと疑問を呈しましたので、混乱は加速したのです。
この経緯で、この主張は外国人排斥の極右グループの間で急速に広がり、彼らはすぐに結集してイングランドと北アイルランドの10以上の町や都市で暴動を引き起こしたのです。
ソーシャルメディア、特にXが暴動を誘発したとして、ネット上ですぐに批判が広がり始め、その多くはXのオーナーであるイーロン・マスク氏に向けられたものでした。
これにイーロン・マスクは反応し、「イギリスの内戦は避けられない」などと煽り、イギリスを旧ソ連に例えるなど、独自の扇動的な発言を始めたのです。
これに対して、イギリス政府は、マスク氏の発言には「正当性はない」とし、ソーシャルメディア企業は憎悪的なメッセージの拡散を阻止するためにさらなる努力をすべきだと発表しました。
マスク氏はスターマー氏への批判の中で、政府の大臣や警察は繰り返しこの主張を否定している、ロビンソン氏やファラージ氏ら右翼が主張する警察活動を非難する根拠のない考えを繰り返し主張したのです。
さらにマスク氏は、イギリスのメディアが自分たちに不利に働いているという極右の間で広く流布している主張を繰り返しています